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ラベンダーの空

ラベンダーの空 17.予感-5

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「あ、ジン。先生が呼んでるからちょっときてくれる?」

背後からのミドリの声に、ジンはそっと立ちあがった。

ジンがラベンダー達の救助に行ってから一週間が過ぎていた。ラベンダーとフローラは、まだ目覚めることはなく、ルードの里の研究所に入院していた。ジンは、里に戻ってから毎日入院した二人のもとを訪れていた。

「ラベンダーの様態についてなんだが」

ラベンダーの担当医薬士の部屋をジンが訪ねると、そこにはデュークの姿もあった。ジンは、そこにデュークが同席していることに違和感を持ちながらも、促されるままに椅子に座った。





「フローラが目覚めないのは、今までエルドラにやられた近衛隊の隊員達と同じ症状のようだ」

「はい」

「でも、ラベンダーは違う」

「ええ。それは俺にもわかります」

「彼女が目覚めない原因は、君の記憶にあるみたいなんだよ」

「え?それはどういう?」

「君がラベンダーハウスを離れるときに、彼女の記憶を消去しただろう」

「はい」

「しかし、彼女の中では、君の記憶は完全には消去されていなかったようなんだよ」

「え?それは・・・、俺の術が効かなかったということでしょうか?」

「いや、術の発動は完璧だったようだ。ただ、外的な術の発動を阻止する、内的な要因が彼女の中で作用したということだと思う」

「内的な要因?」

「今まで、魔法使いと接触した人間の記憶の消去は、何度も行われてきた。そしてその都度、術の発動が正常に機能しているかどうかも追跡調査をして確認をするという作業が行われていたんだ」

「はい」

「しかし、今回のラベンダーのようなケースは報告されていないんだよ」

「今回のようなケースって・・・」

「記憶の消去が不完全なケースだ」

「じゃあやっぱり、俺の術に不備があったということなのではないのですか?」

「いや、それはない」

「それじゃあどうして・・・」

「それは、彼女が魔法使いの末裔で、精霊力を使えるということに要因していると思われる。彼女を助けに行ったとき、彼女の周りにバリアのようなものが張られていたといったよね」

「はい」

「それは、彼女の精霊力が自然に発動して外的要因から彼女を護るために作用したのだと思う」

「ええ」

「それで、今回も同じようなことが起きたんだろう」

「ええ」

「それに、・・・」

「それに?」

「彼女の精霊力を増強させるアイテムの存在が、その力をより強固なものにしたらしいんだ」

「アイテムですか?」

「ああ。これだよ・・・」

 ジンの目の前に差し出されたガラスケースの中には、微かに青白い輝きを放った小さな羽根が入っていた。

「これ?こ・・・これって、俺の羽根ですか?」

「そうだ」

「これをどこで?」

「ラベンダーが、小さな袋に入れて首から提げていたんだよ」

「え!・・・でも、俺、彼女に自分の羽根なんて渡した覚えはありませんけど」

「ああ、この羽根は君が直接彼女に手渡したものじゃない。彼女の記憶によると、君が嵐の中で彼女のことを助けたときに、彼女のコートのポケットに紛れ込んだようだ。彼女は後からその存在に気づいたらしい。そして、君が正体を明かしたときに、彼女はこの羽根が君のものであると確信したんだ」

ジンは、ラベンダーハウスで過ごした最後の夜のことを思い返していた。

不安そうに見つめるジンに向かって、

「そんなに心配しなくて大丈夫だよ。私ね、ものすごいお守りを持ってるの」

彼女は胸の辺りに手を置き、にっこりと笑ってそう言ったのだ。

「それであいつあんなことを言ったのか・・・」

「ジン?」

「あ、スイマセン。お話を続けてください」

「つまりだ。この羽根を彼女が持っていたために、彼女の精霊力とこの羽根が持つ君の波動が融合を起こし、彼女の記憶の消去が不完全に終わったということだ」

「それで・・・。具体的どうすれば、彼女は目覚めるんでしょうか?」

「彼女に君の記憶を戻す作業をする」

「え?そんなことできるんですか?」

「ああ、それには、記憶を消去する術をかけた君自身が、もう一度彼女に記憶を戻すための術を施さなければいけないんだ。ただ、それをしたからといって彼女が目覚める保障はないんだが、今は他に方法がないんだ」

「はい」

「ということなのですが、彼女の記憶を戻すことを納得していただけたでしょうか?隊長」

ラベンダーの担当医薬士は、デュークに視線を送った。

「まだ、納得はできかねるな」

デュークは目を閉じたまま口を開いた。

「しかし、彼女は他の近衛隊員たちとは違い、仮死状態というわけではありませんから、このまま目覚めなければ、いくら処置を続けたとしても、やがて体力が尽きて命を落とすことになってしまいますよ!」

「え?!」

医薬士の言葉に、ジンは驚きの声をあげた。

「そんな。ラヴァンが死ぬなんて!!頼むよ兄貴!あいつに記憶を戻すことを了承してくれよ!」

ジンはデュークの腕を掴み縋りつくようにして懇願した。

「分かりました。それでは仕方がないですね」

医薬士はため息をつきながら、大き目のクリスタルを手にとって立ち上がった。

「何ですか?」

「ジンがこちらに帰ってきてからの彼女の記憶をお見せします。彼女がどんなにそのことで苦しんだのかを見れば、隊長にも分かっていただけるでしょう」

医薬士は、デュークからジンに視線を向けた。

「本当は、これは君には見せたくなかったんだが、君のお兄さんは、私が思っていたよりも、ずっと頑固で物分りが悪いようだから、仕方がない。さあ、彼女の病室に行きましょう」


 医薬士はベッドの横に座ると、ラベンダーの額に手をかざした。額には薄っすらと魔方陣が浮かび上がった。医薬士はその魔方陣の真ん中に、手にしたクリスタルをそっと置いた。

「それでは、始めます」


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