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ラベンダーの空

ラベンダーの空 18. 抜け落ちた景色-1

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18. 抜け落ちた景色
 
 ラベンダーは、天井を見上げていた。暗かった天井が、次第に明るくなっていくのを見つめて、朝が来たんだと他人事のように思っていた。

頭の芯に靄がかかったように重く、ガンガンと頭痛がする。しかし、その原因になることが思い浮かばなかった。いや、いったい自分がいつ目覚めて、どれくらいの間天井を眺めていたのかも定かではなかった。

 ベッドに寝転んで、そんなことを悶々と考えていると、階下から物音が聞こえてきた。フローラが起きて朝食の支度をしているのだろう。自分もそろそろ起きなくては、と重くだるさの残る体を、ベッドから引き剥がすようにして体を起こして着替えた。

部屋を出るときに、微かな光をたたえた花が揺れているのが視界の隅をかすめたが、特に気に留めることもなくそのままドアを閉めた。




「おはよう」

フローラに声をかけると、

「マグカップとお皿を用意してくれる?」

 フローラはいつものように笑顔でおはようと返してから、そう続けた。

「ハーイ」

まだ頭がフラフラとするが、ラベンダーはそれをフローラに悟られないように、いつものように食器棚のマグカップを手にした。

「あら、なにやってるの?今日はお客さんはいないわよ」

ラベンダーがセットしたばかりのテーブルを見てフローラが声をかける。

「え?うん。知ってるよ」

「じゃあ、なんで・・・・。食器が3人分用意してあるの?」

「え?」

フローラに言われてテーブルを見ると、3個のマグカップと、その横に皿が一枚ずつセットされていた。

色違いのマグカップは、以前ロジャーがアンソニーをつれて泊まりに来たときに持ってきてくれた5色セットのものだった。白をフローラ、赤をラベンダーが愛用している。ロジャーが来たときには、黄色、アンソニーが青を使うのが恒例となっていた。しかし、テーブルの上には白と赤のマグカップのほかに誰も使う予定のない黒いカップが置かれていた。

「だってほら・・・・えっと・・・。あれ?」

頭の中にはまだ靄が居座っているのか、そのマグカップを誰が使う予定で用意したのか、ラベンダーはまったく思い出せずにいた。しかし、まるでそれが日常のことのように自然に手にしていた。一瞬、空き部屋になっているはずの二階の隅の部屋が気になったように思えたのだが、その感覚もはっきりと自覚しないうちにふっと消えてしまう。

「ごめん。なんかさ、昨日よく眠れなかったのか、ちょっとボーっとしてて。今片付けるね」

ラベンダーはフローラにそう言ってから曖昧な笑みを漏らすと、黒いマグカップと皿を棚に戻した。


 時計代わりにつけっぱなしにしてあるテレビからは、宵待草を見るために駆けつけた観光客の話題が流れている。

「昨日の晩、宵待草きれいだったよ~。フローラも来ればよかったのに」

サラダを口に運びながらラベンダーがそういうと、フローラが小首を傾げて顔を覗き込んで、額に手を当ててきた。

「ちょっと、なに?別に私熱なんかないよ?」

突然のことにラベンダーが抗議する。

「昨日って、宵待草が咲くのは今夜よ?」

「へ?」

ラベンダーは、トーストの角にかじりつきながら間抜けな声をあげ、慌ててテレビの画面に視線を送る。

確かにニュースで、宵待草が今夜半に咲くことを告げていた。

「え?ええ?だって・・・昨日・・・・」

そう言って記憶をたどろうとして、あっと声をあげた。確かにさっきまでは、昨日の夜に見た満開の宵待草の景色が鮮明に残っていたはずなのだが・・・・。

「夢でも見て勘違いしたのかしら?」

フローラは、あまり気に留めていないようで、いつものように穏やかにそういった。

「え、夢?夢・・・、そうだったのかな?」




食事を終え、部屋に戻ろうとしたラベンダーは、隣の部屋が気になった。ドアを開けると、締め切ったままの部屋が持つ、特有の重い空気がラベンダーを向かいれた。慌てて窓を開けると、窓の桟からふわっと埃が舞った。

 普段の時期なら時々掃除はしているのだが、雪が溶けたばかりで窓を開けることもなかったためか、暫くこの部屋の掃除をしていないことを思い出した。ふと作り付けの棚を見ると、見覚えのある服が薄っすらと埃をかぶっていた。

「なんでこんなところに置いてあるんだろう?」

しかし服を手にとってみると、アンソニーの服のはずなのに、誰か他の人の面影がふっと脳裏をよぎる。その違和感に気づき、もう一度記憶をたどってみるが、誰かの面影がちらついているような気がするものの、それが誰のものなのかはわからなかった。


「あっ!」

胸の中に浮かんだ違和感に、ラベンダーは小さく叫ぶと慌てて階下へ駆け下りた。


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