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ラベンダーの空

ラベンダーの空 18. 抜け落ちた景色-2

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 キッチンに立つフローラの姿を見つけると、ラベンダーは駆け寄ってた。フローラは、その余りの勢いに、思わず体を引いてしまうほどだった。

「あのさ、奥の部屋の棚に、アンソニーの昔の洋服が置いてあったんだけど、あれって誰のだかわかる?」

「え?」

「だからさ~、奥の部屋の棚にアンソニーの昔の洋服があって……」

「誰のって、今あなたが『アンソニーの』って言ったじゃない?前に泊まりに来たときに忘れて行ったのかしら。あんなところに置きっぱなしだったかしら?」

「だって、だって。前にアンソニーが泊まりに来たのって何年前だと思う?絶対変でしょ?」

「暫くあの部屋にも入ってなかったから、気づきかなったのかも知れないわね?今日にでも片付けておくわ」

「でもでも・・・」

ラベンダーの言葉が終わらないうちに、フローラはスッとラベンダーの額に手を当てる。


「!な、なに?」

「熱はないみたいだけど、今日はゆっくりしているといいわ」

「なんでそうなるの?」

「あなた今朝からちょっと変よ?疲れているんじゃない?」

「べ、別に私は疲れてなんか……」

「大学の入学も決まって気が抜けたのかもしれないわね。とにかく、今日はゆっくりしていなさい」

フローラはそういうと、そそくさと温室に行ってしまった。一人残されたラベンダーは、食卓の椅子に座って、ぼーっとリビングを眺めた。目の前には、いつもと変わらない景色が広がっている。しかし、なぜかそこにラベンダーは違和感があった。

「なんだろう。別に変わったところはないと思うんだけど、何かが足りない気がするんだよね」

ふと足元見ると、今朝、ラベンダーが余分にマグカップをセットしてしまった席の下で、バロンが寝ていた。

「?」

いつもなら、バロンはラベンダーの足元で寝ている。しかし、なぜか今日はラベンダーの目の前にある椅子に寄り添うようにしている。

「バロン?」

名前を呼ぶと、バロンは顔を上げて嬉しそうに尻尾を振ってラベンダーの足元に来た。

「バロンどうしたの?なんか今日は元気がないね~?」

ラベンダーが話しかけると、バロンはチラッとラベンダーの前の席に視線を送る。

「あんたも、そこの席が気になるの?私もだよ。なんでだろうね?」

ラベンダーはバロンの頭をクシャクシャっと撫で付けた。その途端、また誰かの面影がラベンダーの脳裏に浮かぶ。

「?……ね、ね、今の誰?」

 ラベンダーには、不思議な力があり、小さい頃から彼女は動物たちと話をすることができた。しかし、話をするといっても、動物たちが言葉を話せるわけではないので、動物たちが持っているイメージをラベンダーが感じることができる、と言った方が正確かもしれない。

今、ラベンダーがバロンの頭に触れたことで、バロンの中にあるイメージが、ラベンダーの中に流れ込んできたのだ。必死に縋るように話しかけるラベンダーの姿を尻目に、バロンは呆れたような視線をよこすと、大きな欠伸を一つしてから、ラベンダーの目の前にある椅子の下に戻って寝てしまった。

 ラベンダーはテーブルに頬杖をついてリビングを見渡した。そこには、いつもと同じ光景が広がっていた。家具の配置も、壁にかけられたカレンダーの絵柄も、なにもかもが昨日と何一つ変わっていないにもかかわらず、何かが足りないのだ。

まるで、すっぽりとそこだけ景色が抜け落ちてしまったような気がする。暫くリビングを眺めていたラベンダーは、慌ててテレビに駆け寄った。

そこには、メリーベルに送った写真が飾られていた。ラベンダーハウスを背にして、前面の椅子にフローラとロジャーが座り、その後ろにアンソニーとラベンダーが写っている。しかし、なぜかアンソニーとラベンダーの間に、ちょうど人が一人分立てるくらいの空間があるのだ。よく見ると、写真の一番左端に立つラベンダーの右手が、不自然な位置にあった。それはまるで、誰かの腕にそっと添えられているかのように見えた。

「やっぱり、なんか変だ……」

自分とアンソニーの間に、確実に誰かが存在していた。でもどうしてもそれが誰なのか思い出せない。

思わずラベンダーは、写真の中の空間にそっと指を沿わせた。すると突然、言いようのない寂しさが込み上げてくるのを感じ、写真を胸に抱きとめたまま泣き崩れた。


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