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ラベンダーの空

ラベンダーの空 18. 抜け落ちた景色-3

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 ラベンダーの額に置かれた水晶玉は、ラベンダーの視線を追うようにして、ラベンダーハウスの日常の景色を映し出していく。それは、ジンにとって懐かしく切ないものだった。

 ジンがラベンダーハウスにいた頃は、疑うことも知らず、いつも真っすぐに未来を見据えていたラベンダーの瞳は、ジンが去った日から、その視界の中で何かを常に探して彷徨う不安定なものになっていた。それはそのまま、ラベンダーの心の中の不安を映し出しているように思えた。





 ラベンダーの中から抜け落ちてしまった景色。それはラベンダーにとって忘れてはならないとても大切でかけがえのない存在であったはずなのだ。

 しかし、それがなんなのかが分からないまま過ごす日々は、ラベンダーも気づかないうちに、心の中に大きく暗い影を落としていった。そして、ラベンダーの心の中の闇の大きさと比例するように、ラベンダーハウスの周りの景色も、次第に色を失っていった。

(俺はラヴァンを、こんなに不安で孤独な中に置き去りにしてきちゃったんだ……)

 水晶玉が映し出す光景を見ながら、ジンはギュッと手のひらを握り締めた。里に戻って力をつければ彼女を護れると信じていた自分がおろかに思えた。自分が知らないところで、こんなにも彼女が苦しんでいたなんて、ジンは思ってもいなかった。

 水晶玉はいつしか、ラベンダーハウスが魔物に襲われた日の朝の景色を写していた。


 その日は朝から空には、暗く怪しげな雲が立ち込めていた。

「嵐が来るのかしら?」

そういってフローラは表を見た。

「でも、天気予報ではそんなこと言ってなかったよ?」
 
 朝食を終え、調合室で調べ物をしようとしていたラベンダーに、ちょっと見てくると告げてフローラは表に行った。その直後にフローラの悲鳴が聞こえた。ラベンダーは咄嗟に、調合室の壁にかけられていた守り刀を手にして表に向かった。


 視界に魔物の群れが飛び込んできた。フローラはその端で、魔物に手首を掴まれて襲われていた。ラベンダーはフローラの元に駆け寄ると手にしていた刀を、フローラの手首を掴んだ魔物の腕に切りつける。ラベンダーに切りつけられた魔物は、鋭い叫び声を上げると塵と化して消えた。

 ラベンダーは、フローラの体を引きずるようにして店の中に引き返す。仲間の叫び声を機に、一気に二人に視線を送ってきた魔物は、二人の後を追って来た。

 寸でのところで魔物の手を逃れたラベンダーは、慌てて店のドアを閉めた。しかし、魔物の群れがラベンダーハウスを取り囲んだのだろう。店のドアや窓をものすごい力で叩かれ、その直後、大きな音と共に砕け散ったガラスがラベンダーの頬を掠めた。温室のガラスが砕かれた音だった。

 ラベンダーは慌ててフローラの体を抱え、開け放ったままになっていた調合室になだれ込んだ。

「ヴォン、ヴォン!」

バロンが魔物に向かって吠え立てる声がする。

「バロン!!」
 
 ラベンダーが慌ててバロンの姿を探すと、リビングの中ほどで部屋の中に入り込んできた魔物に向かって吠え立てていた。

「バロンおいで!」

必死に呼ぶラベンダーの声に、バロンは一瞬振り向いたが、その直後調合室のドアに向かって突進してきた魔物の飛び掛りその腕に噛み付いた。

「バロン!!」

ラベンダーがもう一度バロンの名前を呼んだとき、調合室のドアの前に他の魔物が躍り出てきた。ラベンダーは咄嗟にその魔物に切りつける。ラベンダーが切りつけた魔物が塵となって消えたとき、調合室のドアに何かがぶつかって、バタンと音がして閉まった。

バロンがドアに体当たりをしたらしく、ドアの外ではバロンの吠え立てる声がしている。

ラベンダーが慌ててドアを開けようとしたとき、地面がグラグラと揺れ、ドアの外ではガラガラと大きな音がした。ラベンダーハウスの建物が魔物によって破壊されたのだとラベンダーは思った。直前まで聞こえていたバロンの吼える声止み、ドアの外からは魔物が上げるうめき声だけが響いていた。

「バロン……」

ラベンダーはドアに縋るようにして泣き崩れた。しかしその直後、調合室のドアを魔物が叩く音がして、ラベンダーは顔を上げた。魔物がドアを叩くたびに、調合室の壁や天井がきしみ埃がパラパラと落ちてくる。

慌てて調合室の鍵をかけ、フローラを奥の壁際に横たえてから、ラベンダーは、いつ魔物がドアを突き破ってきてもいいように、守り刀を握り締めて低く身構えてドアを見すえた。



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