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ショートストーリー

雨上がりのにじ

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「 雨上がりのにじ 」

「はーちゃんとりょうくん、急いで帰るしたくをしなさい! 
あなたたちのお母さんが、会社で倒れて入院したんだって。
今お父さんが迎えに来るそうよ」

 いつもみたいに学童保育でママの迎えを待っていたら、
そう言いながら福田先生がプレイルームに飛び込んで来た。

 (ママが入院した?なんで?うそでしょ?どうして?どうして?)


 頭の中に、今朝玄関で「いってらっしゃい」と手を振ってくれた、
ママの顔が一杯になっていた。






「ついたよ」とパパの声がした。

気がついたら、いつの間にか、学校よりもずっと大きなビルの前に
車が止まっていた。

 ママが入院した病院だった。

 弟のりょうが、のどちんこが見えるくらい大きな口をあけて、
ビルを見上げて「でっけ~」と言った。




 ビルの中は少し暗くて、保険室みたいな匂いがした。

 パパの後ろについて、薄暗くて長い廊下を歩いていると

「あれ?はーちゃんじゃない?」と後ろから声がした。

振り返ると優しそうな看護師さんがコッチを見ていた。



(見た事あるような気もするけど、だれだっけ?)

と思っていると、

「こうちゃんのママ」とパパが言った。



 そっか思い出した、こうすけのママだ。

 こうすけは、保育園から三年生になった今も、ずっといっしょのいじめっ子で、

すぐに私にちょっかい出して来てはいじわるをしてくるいやなやつなんだ。


 今度は頭の中に、こうすけがいじわるそうにニヤッとわらった顔が大きく浮かんで来た。


(なんでこんなに優しそうな人から、こうすけみたいないじわるが産まれまれて来ちゃったんだろう?)

パパと話しながら歩いているこうすけのママの背中を見ながら、私はすごく不思議に思った。






 真っ白なカーテンの向こうのベッドの上にママがいた。

 ママの腕から、透明なチューブがのびていて、上の方のビンにつながっていて、

そこでオレンジ色の水がポタポタと砂時計みたいに落ちていた。


 ママはすごく顔色が悪かった。


(ママが死んじゃう!)って思って


「ママしんじゃいやだ~!」と言おうとした時、

先にりょうがママに飛びついて泣き出した。




「心配かけてごめんね」って、ママは青白い顔で言った。


 あんまり大声でりょうが先に泣き出したもんだから、

私は何も言えなくなってしまった。


 いつもいつもそうなんだ。

 りょうはチビだからって、すぐにママに甘えるんだ。

なんかお姉ちゃんって損だなと思った。



「ほらほら、そんな事したら、もっとママの病気が悪くなっちゃうだろ?」

 パパがりょうをママのベッドから下ろして言った。

 ママが、りょうの頭をなでて、私たちの手を握りながら

「心配かけてごめんね、二人ともパパのお手伝いをしてあげてね?」と言った。



「はーちゃんとりょうくんがいい子にしていれば、ママはすぐに良くなるからね!

心配し無くても大丈夫だよ!」

 とこうすけのママがウインクしながらそう言った。



 (そっか、私たちがいい子にしてればママはすぐに良くなるんだ! 

でも、いい子にするって、どうすればいいんだろう?)


私はずっとずっと、いい子ってなんだろう?って考えていた。







 次の日から、私がママのかわわりに学童保育にりょうをむかえに行って、

連れて帰る事になった。

 でも、りょうはワガママばっかり言ってなかなかキチンと歩こうとしない。

とうとう、「ボク疲れた」とかって言って、

途中の公園のベンチでランドセルを下ろして座りこんでしまった。



「寄り道しちゃだめだよ、りょう。早く帰ろうよ!」って私が言っても、

そっぽ向いてる。


 私はだんだん腹が立ってきた。

「あんたがそんな事ばっかりするから、ママは病気になっちゃったんだからね!」って

へたり込んで動こうとしないりょうに、つい大きな声でどなってしまった。


 喉の奥が熱くなってきて、涙がポロッとこぼれた。


 すると、りょうも、目にいっぱいためた涙を、一生懸命こぼさないように、

グッと歯を食いしばってコッチを見てた。


(ヤバイ!言いすぎた) と思った瞬間のことだった。


「な~に兄弟ゲンカしてるんだよ!」後ろから声がした。




こうすけだった。

(あー、またいじわるされる!)と思った。

するとこうすけは、自分の自転車のカゴにりょうのランドセルをヒョイと乗せて、

ビックリしているりょうに向かって

「おまえの姉ちゃん、怒るとすげーこわいよな?」と言った。




そして、りょうを引っ張って立たせた。





「後ろに乗ってしっかりつまれよ」と言うと、クルッと振り返って

「オマエは後から帰ってこいよ!お・ね・え・ち・ゃ・ん!」

といつもみたいに、いじわるくニヤッっと笑いながら私にそう言った。

何が起こったのかわかんなかった。




ん~?こうすけって、いじめっこなんじゃなかったの?頭の中がグルグルしていた。




「早くしないと置いてくぞ~!」

「ちょっとまってよ~!」


 こうすけの後で偉そうに叫ぶりょうに向かって私はそう言って、

こうすけの自転車を一生懸命追いかけた。




 風を切って走っていると、なんだかすごく気持ちがよかった。




 その夜、布団に入ってうす暗い天井を見ていたら、またママの事が心配になってきた。


(ママはもう寝たかな~?)

 すると、隣の布団からヒックヒックとしゃくりあげる声がする。

 いつもママといっしょに寝てるりょうは、寂しくってねられないらしい。

「うるさいな、私、今日ウンと走って疲れているんだから。静かにしてよ!」

と私が言うと、いつもならなにか言い返してくるはずなのに、

りょうはヒックヒックと泣いてるままだった。


(しかたがないな。りょうはまだ一年坊主の甘えん坊なんだもんな)


「いい子にしてたら、ママが早く良くなるって、こうすけのママも言ってたでしょ?だからもう泣かないの」

 私は、りょうの布団に入って、りょうの顔を覗き込みながらそう言った。

「おねえちゃんなんかママみたい」

 そう言ってりょうは静かに目を瞑ると、いつのまにか寝てしまった。








 次の日も、その次の日の帰り道も、こうすけは黙って自転車にりょうを乗せて

私の前を走っていた。


でも、あの日みたいにビュンビュン飛ばしてはいなかった。





 その時、ポツッポツッ・・・いきなり夕立が振り出した。


「いけな~い、洗濯物を干しっぱなしだ!」思わず私が大声を上げた。


 すると、「オマエはコレに乗って先に帰れ!」自転車を止めてこうすけが叫んだ。





 ベランダの洗濯物を全部カゴに入れ終わったころ、途中で雨やどりしていた、

こうすけとりょうが帰って来た。


「こうすけのおかげでバッチリだよ」と私が言うと。


 こうすけはちょっと照れくさそうにニヤッと笑った。


「わーきれい!見て見て!」りょうが窓の外を指さした。




見上げると雨上がりの空に、きれいな虹がかかっていた。



私たちは、3人でベランダに出て虹を見上げた。


「ほんとキレイだね!」私がそう言うと、

ほんとだねとりょうが言った。



「明日は晴れるかな?」って私が言ったら。


「大丈夫、きっと晴れるよ」と

こうすけが私の顔を見ながらそう言って頷いた。


「うん、そうだね」

私は、こうすけの顔を見て頷いてから、また虹を見上げた。





 雨上がりの匂いを含んだちょっと温かい風が、

すーっと空に向かって吹き抜けて行った。





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~ Comment ~

ドッペル 様

早速ご訪問いただきましてありがとうございました。

また、温かいコメントまでいただきまして、本当にありがとうございました。

これからも、こんな感じで、ふと実感できるような物語を書いていきたいと思います。

よろしくお願いします。

はじめまして!

 コミュご参加、ありがとうございました。
 こちらの短編読ませていただだきました。
 不幸な出来事だったママの病気がきっかけとなって、兄弟、そしていじめっ子との絆が深まっていくのですね。
 現実にも、こういったことってありますよね。
 とても自然な文章、そして自然なストーリーだと感じました。
 それでは、またっ!
 ぽちっとしに来ますね。
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