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ラベンダーの空

ラベンダーの空 5. 本当の理由-4

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「荷物を積むのを手伝ってくれる?」フローラが二人を呼ぶ声がする。

「はーい」ラベンダーは返事をすると、その手紙をテーブルに置き、行こうとジンに声をかけて店のドアを開けた。

店の外には、ラベンダーハウスにある8本足の車より一回り大きな車が停まっていた。
こちらの車には、足の他にタイヤもついている。荷台には屋根と扉もついていた。二人は、アンソニーを手伝って、薬草の入った大きな袋をいくつも荷台に積み込んだ。

「手伝ってくれてありがとう、助かったよ」荷物を積み込み終わって、荷台のドアを閉めながらアンソニーはジンに向かって言った。

「いえ、別に」

「ラベンダーは、ちょっと気が強いところもあるけど、根は素直ないい子だから。よろしく頼むよ」

そういって、ジンの前に手を差し出した。

「あ、はあ」差し出された手をそのままにして置くわけにもいかず、ジンはアンソニーの握手に応えた。



ロジャー達を乗せた車が、長い影を引きずるようにして遠ざかって行くのを見送ってからジンは店のドアを開けた。

「あ・・・」

西日に照らされて暖かかった表とは対照的に、店の中は薄暗く湿気を帯びて冷たく感じ、さっきまで笑い声が溢れていたことが嘘のようにシンと静まり返っていた。ジンはその空気の重さを感じて、店に入るのを一瞬とどまってしまった。

「どうしたの?」後ろでラベンダーが不思議そうな声で尋ねてくる。

「いや、なんでもない・・・」

ジンの実家には、両親と姉と兄の5人で暮らしていた。父が里の長を務めていたために、いつも来客が絶えず、家の中から人の気配が消えたことなどなかったのだ。ジンはそれを小さい頃から煩わしいと思ってきた。

それだけに、人気のない家というのがこれほどまでに寂しい空間になってしまうとは思ってもみなかった。見慣れた店やそれに続くリビングの景色が、黄昏の薄暗がりに飲み込まれて、自分が知らない世界に迷い込んでしまったような錯覚さえ感じたのだ。

この家に来てから、フローラの優しさやラベンダーの明るさに包まれて過ごしてきて、まさかここがこんなにも寂しい場所だったなんて気づきもしなかった。逆に言えば、こんな寂しい空間の中で、ずっと肩を寄せ合うようにして二人は暮らしてきたのかと思うと、ジンは動揺を隠せなかった。

「なにやってるの?」ラベンダーが声をかけてくる。

ジンは、自分が動揺していることを気づかれないようにして、わざと明るいつくり笑顔を顔に貼り付けて振り返った。

「いや、別になんでもない」

「ロジャーさんたちと話して疲れちゃった?」ラベンダーは心配そうに覗き込んでくる。

「そ、そんなことないって。いい人達だったなって、そう思い起こしてただけだよ」

自分でも言い訳じみた言葉だなと思いながら、ジンはそう言って笑ったが、ラベンダーはどこか納得がいかない様子で、「直ぐに夕飯の支度するから、もうちょっと待っててね」と言い残してキッチンに行ってしまった。

「疲れたでしょう?今朝も早かったし、少し部屋で休んでくるといいわ。それと、今日はお肉が来たから、遠慮しないで沢山食べてね」フローラもそうジンに声をかけるとキッチンに向かった。

ジンは部屋に戻り、さっきと同じようにベッドに寝転んで天井を見上げて、ルナと交わした会話を思い出していた。

「誰かのことを好きになったことがないって?余計なお世話だ・・・」

里に居た頃に付き合っていた女の子のことを思い出した。しかし浮かんでくるのは、うるさく自分に縋りついてくる女の子の腕や、休む暇もなく話しかけてくる口元ばかりで、それがどんな顔をした子だったのか一向に思い出せない。

(俺はまともにあの子達の顔を見て付き合ってなかったんだ)

あの頃の自分は、里を出ることしか考えていなかった。そして、その際にしがらみになりそうな人間関係を作りたくないと思っていた事も事実だ。それにしても、顔さえもまともに見ることもない関係を、付き合っていたといえるのだろうか?そう思うと、いまさらながらなんて無責任だったんだと愕然とした。



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